『孤独と不安のレッスン』(鴻上尚史著・大和書房)より。
そもそも、「考えること」と「悩むこと」は違うのです。
僕は22歳で劇団を旗揚げしました。今と違って、学生劇団からプロを目指すなんて、誰もやっていませんでした。当然、旗揚げの時は、不安でした。
早稲田大学演劇研究会という所にいたのですが、先輩が、僕に、「鴻上、劇団、どうするの?」と聞いてきました。
「今、どうしようか考えているんですよ。旗揚げしたほうがいいのか、やっていけるのか……」
と答えると、その先輩は、
「考えてないじゃん、悩んでるんだろう」
と言いました。えっ? という顔をすると、先輩は、